第105回 夏だから、こんな話も
2013.08.01
みなさんもご承知の通り、私はUFOやら超能力やら、全く信じない人間なのですが、なぜか、論理的に説明のつかない出来事に遭遇することがあるようなのです。 以前にも、このコラムに書きましたよね。小学生の頃、一升瓶の蓋が宙をクルクル舞った後に、元の一升瓶にピタリと収まったこととか。
劇的ではないけれど、自分で体験しておきながら、どうしても説明のできないことが、日々の生活の些細な場面であるのです。
夏の暑苦しい時期だし、怖い話ではありませんが、ご紹介しておこうと思います。
まず、花岡山の話。
私が住んでいるのは、熊本市は西寄りの熊本駅の近く。「つばき時跳び」の主な舞台となった花岡山の中腹です。そこから毎朝5時前後に山頂まで散歩するのが日課になっています。
日によって、コースを変えます。車道を歩いたり、直登で石段を昇ったり。山頂に着いたら、花を眺めたり、下界を見下ろしたりしてのんびり時間を過ごします。
この一日をどう過ごそう。書きかけているあれの描写はこんな感じにしよう。こんなエピソードも挟んでおいたほうが後で活きるんじゃないか。山頂へ歩いている時間は、イメージトレーニングの時間でもあるわけです。
いろんなコースで、その日の気まぐれで足を延ばすところも変えたりします。
で、花岡山の西斜面には巨大な赤鳥居があります。この下に八枚石と呼ばれる巨石があり、その下にお稲荷さんが祀られています。
そのお稲荷さんの由来も一応記します。
400年前に大阪で住まいを失くした兄弟狐が近江の長浜へ来た時に侍が決闘している場面に出くわしました。そこで2人の仲裁に入り、仲直りさせた加藤清正を目撃します。狐たちは清正の行動に感銘を受け、清正の跡をつけて肥後の国までついて来たんです。2匹は八枚石が大阪の石山城に似ていたので、花岡山を住処にしました。そこへ、清正が熊本城を築城するために石を切り出しに来ました。切り出し作業の途中、清正がうたた寝をしていると、この兄弟が夢に現れ「清正公を慕って肥後までやってきた兄弟狐です。ここには我々が住んでおりますので、八枚石の切り出しだけはご勘弁を」と。清正が八枚石は見逃すと約束すると、兄弟狐は喜び願い出ました。「では弟を熊本城の守りにしましょう」と。兄は清藤大明神として花岡山に残り、弟は緋衣大明神として熊本城に移ったという伝説があります。緋衣大明神は、熊本城稲荷神社に祀られております。
兄さんの清藤大明神のところへも八枚石の横の鉄階段を伝って、時々下ります。しかし、木の葉が散っていたり蜘蛛の巣が張っていたり。初午の頃はきれいに清掃されていますが、それ以外は……。
どうしても見るに見かねて、箒で、社のまわりを清掃。それから帰ろうとした時のこと。
まだ、夜明けだから周囲に人の気配はありません。犬や猫がいないこともわかっていました。
帰ろうと鉄階段に近づいた時、何かが背後からやって来る気配。背中がゾッとして慌てて振り向いたけれど、何もいない。また、鉄階段を昇り始めたとき、はっきりと聞こえました。私のすぐ後ろに何かがいるんです。そして……。何か喉を鳴らしながら……。
はあっ。はあっ。はあっ。はあっ。
私は、猛スピードで階段を駆け昇りました。そのまま仏舎利塔近くまで走り、息を整えましたが、その頃には、正体の分からない気配は消えていました。
あの時の気配がいったい何だったのか、未だにわかりません。それから懲りもせずに何度か清藤大明神のところまで行ったり、掃除したりもしたのですが、以後はそんな体験は全くないんです。あの、はあっ、はあっ、はあっ、という声とも荒い息ともつかぬものの正体はなんだったのか。清藤大明神とも違う気がしてならないのですが……。
それから、もう一つ。
これも、真っ暗な朝の時間帯の話。
私は、我が家の仏間で一人寝起きしています。ちなみに、仏間は仏壇のある壁以外は、全て奥張りになっています。外に面している襖はありません。襖を閉じてしまえば、外部の光は全く入らない。
そんな部屋に、朝の散歩から帰ってくると……。真っ黒な仏間の壁面の天井近くに……直径30センチほどの円形状の光体がいるのです。初め、外の光が何かに反射して壁に映っているのだと考えました。しかし、外はまだ暗い。差し込む光はないし、仏間の四方は閉じています。反射光じゃない。試しに光体の上に手をかざします。光源が別にあるなら光体に影ができるはず。ところが……影は……できない。一見ただの反射光が実は全く性質の異なる光体と知り、手で光体に触れようとしたら……。
光体は慌てて天井裏に逃げていった!!
家族に話しましたが、誰も信用しない。眼底検査をしろという奴まで……。
光体は、その後、同じ時間帯に3度出現しています。最後の時は家人を慌てて呼びに行き、なんとか間に合って目撃させました。ご先祖様、という説やら、私がどこからか低級霊を連れてきているという説まで飛び交いましたが、オチを期待された方は、残念。未だに説明はつかないままです。ひょっとしたら?とのご意見を待ってます。