第125回 コロンブスのタマゴご飯
2015.04.01
中華料理は大好きです。昼飯時に食欲がないとき。何を食べようか思いつかないとき。私は上熊本の高台にある竹林横の中華料理店をよく利用します。
四川料理系のお店が多い熊本ですが、中でもここの麻婆豆腐は、絶品だと思います。山椒の辛さが心地いい。ご飯に自分の好みの量の麻婆豆腐を乗っけて食べると、至福です。
さて、これからが本題。
この中華料理店は、私の孫も大好きです。特に五目炒飯がお気に入り。確かに、美味しい。ある日2人でこの店に行き、いつものように私は麻婆豆腐とご飯、孫は五目炒飯をオーダーしました。で、私は白飯に麻婆豆腐を掛けて美味しく頂きました。
このときまでは、この食べ方が一番美味しいと思っていました。すると孫が私が食べていた麻婆豆腐に手を延ばし、それを自分の五目炒飯に掛けたのです。「辛いよ。大丈夫?」と尋ねると、帰ってきた答えは、「うまーい!最高だよ」
え・え・え?
私も、孫の五目炒飯を貰い、麻婆豆腐を掛けてみると、確かにうまい。
五目炒飯もとても美味しいのですが、麻婆豆腐の辛さと相まっての相乗効果。
これまでになかった味を発見したのでした。
それからは、家族でこの中華料理店で注文するのは決まって、五目炒飯と麻婆豆腐。
東京から叔母が来熊したとき、この中華料理店に連れて行ったら「美味しい!」と感激してくれました。で、五目炒飯に麻婆豆腐を掛けて食べることを奨めると......。なんという食べ方をするのだ、叱声が。えっ?、どうして?
叔母に言わせると、それは若いもんの食べ方だ!と。
なるほど油で炒めて高カロリーになった炒飯に、同じく高カロリーの麻婆豆腐なんて、とんでもない!と。
じゃあ、と私は叔母に友人から教わった五目炒飯の茶漬けなる食べ方を教えました。これは、炒飯を茶碗につぎ、ウーロン茶を掛けて食べるもの。はじめて友人から聞いたときは眉唾ものだっただったのですが、試してみたら、これが、いけるんです。叔母は乗り気じゃなかったのですが、「騙されたと思って」と作ってあげましたよ。
ところが一口食べただけで、叔母は大喜び。「こんな食べ方もあったんだねぇ」と。夏に、食欲がないときはいいかも、と褒められました。
みなさんも、お試しあれ。
さて、こんな掟破りな食べ方は、他にはないのか?そんな疑問が浮かびました。
固定観念にとらわれて試していなかった食べ方が他にもたくさんあるのではないか?
それでこのようなタイトルになったわけです。
私は友人と世間話をするとき、麻婆豆腐かけ五目チャーハンの話をしてみるようになりました。すると、友人たちも「こんな食べ方もあるよ」と情報を教えてくれます。
驚愕の食べ方。白飯のおかずに炒飯。
そんなことを言った奴もいましたね。さすがに試してみようとは思いませんでしたが。どれだけご飯好きなんだ!と呆れました。
割りと多かったのが、炒飯に付いてくるタマゴスープを炒飯に掛けて食べる、という方。これは、目の前に並べられただけで、自然にそのような発想が生まれたと思われます。
中華系の話が終わると、「こんな食べ方を知ってる」という話がいろいろと出始めます。ご飯にマヨネーズと醤油掛けたマヨネーズご飯。味付け海苔も一緒によく登場しますね。そんな話題の延長で、バターご飯、マーガリンご飯。もう、聞いているだけで、いたたまれなくなります。温かい牛乳かけご飯の話しあたりでは「外国では米は野菜扱い」というのを、ふと思い出しました。
話を振った側として、ちゃんと実験して味を確認して、証言を残す必要があるのでしょうが、そこまでの勇気を発揮できていません。ごめんなさい。
その代わりに、最近聞いて試して美味しかったものを紹介しておきます。
まず、栗ご飯にカレーを掛けて、というパターン。これは前日残った栗ご飯と、前々日の余って冷凍しておいたカレーの、奇跡の出逢いでした。栗ご飯は、ちと冷たいというのがベストなようです。
そして、鯛めしにイクラの醤油漬けを掛けて食べるという......これは試す前から、うまいに決まってると確信できました。教えてくれた方は、これを「さくら飯」と名付けたと言っていました。
粋ですね。でも、さくら飯って、具のない味付きご飯というイメージなのですが。
ここで、最近教わった究極のタマゴご飯を紹介しておきます。
新鮮なタマゴが手に入ったら、割って黄身と白身を分けるそうです。で、炊きたてのご飯に白身だけを入れ、ひたすらかき混ぜる。そして、白身がすっかりメレンゲになったら、上に黄身を乗せる。ほんのちょっと醤油を垂らし、黄身を少しづつ崩しながら食べる。
聞いただけではピンとこなかったけれど、試したらマイルドな美味しさ。予想外な味。
これぞ、タイトル通りの、「コロンブスのタマゴご飯」でしたよ。