第61回「クリスマスが誕生日!」
2009.12.01
愚痴を書いていいですか?
還暦を過ぎたオヤジですが、ずっと子供の頃から引きずっていることがあります。
それは……私の誕生日は、12月24日であります。つまり、クリスマス・イブが誕生日。キリストの誕生日の前日であります。(ヨーロッパの迷信では狼男が生まれるのは、やはりキリストの生誕の前日、12月24日だそうです。ガイ・エンドア著「パリの狼男」参照。このこともけっこう頭の中に引っかかっていることです。といって、狼男ではもちろんありません。しいて言えば私は狼の皮をかぶった羊くらいかな)
で、何を引きずっているか、というと……子供の頃、もらっていたアレは、誕生日祝いだったのか、クリスマス・プレゼントだったのか、ということです。そのプレゼントは一個だったので、そのどちらかに、間違いはないのですが。
それがクリスマス・プレゼントであれば、誕生日プレゼントは貰っていなかったことになる。
それがどちらなのかというと、貰っている時間に手がかりがあり、25日の朝、枕元にプレゼントは置かれていた。
つまり、サンタクローズの贈りものであればクリスマス・プレゼントということになる。
「どうして誕生プレゼントはなかったのかなあ」
そう親に訊ねると、返事は、こうでした。
「サンタさんは、シンジくんお誕生日おめでとうと言って置いていったから、誕生日プレゼントでしょう」
「じゃあ、クリスマス・プレゼントは?」
「サンタさんが置いていくなら、クリスマス・プレゼントでしょう」
「でも、一つしか置いてないよ」
「サンタさんが配っているのは、お前だけじゃないよ。限られた時間で全部の子供に渡すから、まちがいはあるよ」
「……」
手もなく言いくるめられていましたが、どうしても腑に落ちませんでした。サンタのような世界中の子に一夜でプレゼントを配りまわれるような神業を持つ存在に、そんなまちがいはないのではないか。
純真な私は、サンタクロースの存在は疑っていなかったのです。何歳までかなぁ。
これが、愚痴。
で、小学校低学年の頃は、意外と多く存在した「元旦生まれ」の級友たちと愚痴を言い合ったものです。彼等は、実際は12月31日やら、1月2日に生まれた者もいた記憶がありますが、何故か、戸籍上は「元旦生まれ」になっているということでしたなぁ。
で、意気投合したのは、彼等も、誕生日とお年玉が、一つで渡されるということでした。ここには、サンタクロースは介在しておりません。そんな友人たちの親たちは「最初から、誕生祝いとお年玉を合算して入れてある」と言い逃れをしていたと。ぼくたち、不幸だ!と。
そこで、会話の中で、サンタが親だということを知ったわけです。
遅い!遅刻耳の私です。
それも、いく昔のこととなったでしょうか。そんな私にも、小学校低学年の孫ができました。
昨年の暮れのことです。
クリスマスが近づき、孫は親にクリスマス・プレゼントは、このゲームが欲しい!とねだっておりました。
すると、親はこう答えます。
「いま、サンタさんは、考課中なんだ。いい子にしかプレゼントをやれない。この一年、いい子だったのか。プレゼントをやってもかまわないか」
だから、私も横から口を挟みました。
「そうか。そうか。実はおじいちゃんとこにもサンタさんからアンケートが来たんだ。
孫の○○くんはいい子でしたか?って。
ハイ、だったら、素敵な望みのプレゼントを差し上げましょう。
イイエ、だったら、サンタさんがさらっていくんだって。トナカイの横につないでソリを引かせる。
どちらとも言えない、のときは、コンビニで売ってるお菓子クラスのプレゼントになります。正直に答えてくださいって、書いてあった。
どれに○をつけて返送すればいいのだろうねぇ」
孫は憮然とした表情で「ちがうよー!クリスマス・プレゼントは」と父親を指差して「パパがこっそり持ってくるんだもん」
私は、まだこの齢のころはサンタを信じていたというのに。まあ、そんなものですね。今の時代は。
今の子たちを言いくるめる能力は私にはないようです。