Columnカジシンエッセイ

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Column - 2006.07.06

第20回「カジシンCINEMA」

今月から、コンテンツ変更で、こんな形になります。よろしくお願いします。

映画大好きな人なのです。子供の頃から。昨年、数えてみたら、二百三十本観た計算になります。もちろん劇場で。
私は熊本に住んでいるのですが、シネコンが増えたとはいえ、まだ公開される映画は、中央に比較して圧倒的に少ない。そんな熊本で、公開されない映画、あるいは中央でも公開されない傑作を観るには、ビデオやDVDを待つしかありません。
今、私は、高橋酒造さんの提供で、「カジシンCINEMA」(毎週金曜、夜十時五十四分から十一時まで)なる番組を、熊本県民テレビ(KKT)でやらせて頂いております。これは、映画情報番組なのですが、他には全く無かった映画情報を提供しようという野望を持ってスタートさせました。
いくつかコンセプトを設けました。
月一回は、劇場公開される映画の紹介。ただし、宣伝が行き届いている映画は無視。ひっそりと公開されようとしていても、私が佳作と認め、かつ私好みの作品であること。必ず、自分の目でその作品を確認したもの以外は紹介しません。
残りの回は、熊本で公開されなかった傑作、珍作、怪作で、ビデオ化・DVD化されたものの紹介。しかも、私のフィーリングにぴったり合わないと駄目。そのため、レンタルビデオ屋に日参して劇場と同じくらいソフトを観まくります。正直、ビデオスルーの七割方は箸にも棒にもかからないクズ映画であることが多いのですが、二割くらいは、ハッとするような傑作や、一場面くらいは「やるじゃない!」と叫びたくなるような作品があったりするものです。SF作家のシオドア・スタージョンが言い始めた法則があります。
「すべての小説の九十パーセントはクズである」(そうか!じゃあ、これまで書いた小説の十倍愚作を書いても許されるのか!と思った私は脳天気なのでしょうか?)
スタージョンの法則というのですが、それからすると、三割ほどのソフトに、価値を見いだせるというのはラッキーかもしれません。
とにかく観続けないことには、傑作には当たらない。ひどい映画のときは、苦行のような気持ちです。こんな小説は書かないようにという反面教師のつもりで観ます。だからこそ、これだという作品に当たったときの嬉しいこと。
でも、あといくつか、難関があります。たとえば、トレイ・パーカーの「チームアメリカ」を紹介しようとしたら、「十八禁」なのですね。地上波放送では、さすがにまずいだろう、いくらおもしろくても。という判断で泣く泣く見送られました。
あと、放送前にはソフトの発売元の了解をとらなくてはなりません。
番組スタート時点では、その承認がなかなかとれませんでした。
カジシンCINEMA?何だよ、わけわかんねぇこと、地方局がやって。
そんな感じだったんですが、放送開始から一年を経過した今、承認をたいへん気持ちよくやって頂けるような状況になってきました。でも、「アレ」とか「アレ」とか、まだ承認が下りなくて紹介できない、もったいない傑作があるんですよねぇ。そんな「アレ」をいずれはと、闘志を燃やしています。決して諦めたわけではなりません。
これまで紹介した作品のリストはKKTのホームページにあるのですが、そのリストをご覧になると、梶尾真治の映画の好みが見えてくるような気がするとともに、私の人となりが読み解かれそうな気もして、ちょっと怖いのですよ。
皆さんも、未公開で、こんな傑作を見たぞという映画があれば、ぜひ教えていただきたいのですが。
これからは、私も答えられる範囲でコメントに参加していこうと思っていますので、どうぞよろしく。

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