Column - 2007.05.01
第30回「九州国立博物館へ行く」
だいたい、私は、熊本でいう「わさもん」である。新しいものがあれば、すぐ興味が湧く。「わさもん」というのは、好奇心が強い人と言えばよいのだろうか・穴があれば覗きたがる。紐があれば引っ張ってみたくなる。
だから、太宰府に九州国立博物館ができたと聞いて、一刻も早く行ってみたいという思いで、うずうずしていたのだ。
その機会がやっと巡ってきた。
わくわくである。太宰府天満宮に隣接した位置にあることも確認した。よし、帰りしなには、出来たて熱々の梅ヶ枝餅を食べるぞと、心に固く誓う。
行ったのは、平日である。土曜や日祭日では、混雑するのではないかと予想したからだ。ところがどっこい、平日でも相当な人出である。これが日曜だったら、どんなことになっているのかと想像すると恐くなる。
緑の中を抜けて正門に至る。どでかい。建物を目の前にしただけで迫力を感じる。サッカー場一つがすっぽり中に収まる広さだと知って、なるほどと思う。
入るとエントランスホール。広さもだが、天井まで吹き抜けの空間に圧倒される。しばらくエントランスで、ぼーっと佇む。
我に還ってチケットを買い、特別展示室へ。
こは、テーマ毎に五つのエリアに分かれていた。その五つのエリアそれぞれにの奥にも、関連した展示室が設けてある。それぞれに見応えがある。どのエリアから見てもいいように、順路は設けられていない。好き勝手に見なさいという感じである。
旧石器から縄文時代のエリアから見物を始めた。まず、話や写真のみでしか見たことのなかった火焔土器や遮光器土偶に初めて出会う。嬉しかった。これだけで、ご飯三杯いけるようなほど食い入るように眺める。これらの土器は東北の方だから、九州ではなかなか見る機会がないんだよなぁ。これが見れただけで、やって来た甲斐があるってものだ。トンデモ学説の連中が、遮光器土偶を見て「宇宙人は地球に来ていた!」と叫べたがるのも納得でありました。
すると、その横にシアターがある。中に入ると、全編CGの迫力映像が。
なんと、九万年前の阿蘇山大爆発を見せてくれるというんですよ。
現在の阿蘇は、外輪山だけを残して中央部は陥没したような地形になっている。それは、古代の大爆発のためで、本来は富士山に匹敵するほどの霊峰だったと、よく聞かされたものだった。
その霊峰、阿蘇山が消失するところを見せてくれるというから、興奮であります。
九州の中央の阿蘇山がアップになり、あっけなく大爆発。
それからが凄い。阿蘇山から噴き出した火砕流が、すさまじい勢いで四方に溢れ流れ出す。
私が住んでいる熊本市は、画面上では、次の瞬間、全滅しているにちがいないと思えます。ま、九万年前だからいいけれど。その火砕流は太宰府あたりも一呑み。想像がつかん。
一つのエリアを見るだけで四〇分以上もかけたことが判明。それでも、ゆっくりと見てまわって堪能しましたヨ。
でも、展示物を見ながら感じたことが一つ。
文字は不利だ!!
価値のある古文書も展示されているのだが、正直言って、私の目が奪われるのは、埴輪や石仏やら。
古文書にも貴重な情報が記されていることはわかるのだが、どうしても展示品の中では地味である!……しかも、読めない。
ううむ、もの書きの私が、これでいいのか……と、ちょっとショックでありました。