Columnカジシンエッセイ

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Column - 2010.01.01

第62回「カラオケ・ゲーム」

以前ほどは行かなくなったけれど、それでも年末から年始にかけては行く回数が増えてしまいます。
何の話かって?
カラオケです。
正直言って、私は歌がうまい方ではありません。だから、子供の頃は人前で唄ったりという行為は、死ぬほど恥ずべきものであったのです。絶対に唄わない時期もありました。
カラオケに生まれて初めて行ったのは、いつのことだったっけ。というより、その時代はカラオケ・ボックスなるものは存在していなくて、スナックで見ず知らずのお客さんも同席しているところで、一人づつ唄うという、顔から火を噴くほど恥ずかしいシチュエーションでした。そんなとき、カラオケを唄う人に、「恥」という概念はあるのだろうかという疑問を抱き続けたものです。
もちろん、そんな場所に引っ張って行かれても絶対に唄いませんでしたが。
そして、月日は流れ、忘年会や新年会の二次会は、気がつくと必ずカラオケだったりするのですね。しかも、下手な唄い方で恥ずかしげもなく、がなりたてている。あと三十分延長しようと騒いでいる。それほど、自分でも人格が変わったとは思わないのに。
だいたい理由はわかります。

この連中とならば、恥を掻きあってもいいという人々としか行かないし、カラオケ・ボックスという第三者が混ざり込まない隔絶された密室空間なので大胆になれるのです。
もう、恥という概念はありません。他人が唄っているのなんか、聞いちゃいません。その間は次に自分が歌いたい曲を選んでいます。他人が唄い終わったら、おざなりな拍手。まったく、仁義なき世界であります。
そんなカラオケの楽しみ方をしていたのはひと昔前のこと。
とりあえず二次会はカラオケに行く。そしてメンバーの誰はこれこれの曲を唄うと覚えた頃。これじゃ物足りない、と。
新しい刺激をカラオケに求めはじめる。
その頃は今と違ってカラオケ・ボックスの部屋には、選曲用の本が置いてありました。
皆で、まずジャンケン。唄う順番を決める。
で、一番負けた人が、曲名本をめくり、右もしくは左と指定する。最初に唄う人は、その指定のページから唄える曲を選択する。
カラオケ・ルーレットであります。
あるいは、曲名の最後の文字が頭についている曲を選んで唄うカラオケ尻とり。
特にカラオケ・ルーレットは、よくやったなあ。
しかし、唄いたい曲が、みな唄えなくて、だんだんストレスが溜まってくる。それで、お開き寸前になると、やっと、一曲だけ自分が一番唄いたい曲を唄わせてもらえるという……。
ストレスが溜まっているから、その解放感もひとしおというゲームであります。
これも、いつの間にか、やらなくなったなあ。
カラオケのテクノロジーが進歩して、パネルにタッチペンで曲名が選べるようになったからでしょうなぁ。
皆さんは、「カラオケに行ったら、こんな遊び方をすれば、萌えるぜ、盛り上がるぜ!」というのはありませんか?
アニメソング縛りで唄いあうとか、懐メロに限る、というのはよくあるので、あまり興奮しませんねぇ。あとはジャンルで、フォークソングだけとか、放送禁止歌だけ、コミックソングだけ、という縛りをやったりもしますね。
もし、皆さんに、「こんな唄い方をやれば盛り上がるよ」というのがあれば、ぜひ、コメントをどうぞ。
で、最近やって盛り下がったカラオケ。
「このカラオケで、どん底に」
そんなタイトルが似合いそうです。
テレビで、この歌を聴いたら泣けますョ。そんな番組があったでしょう。
で、我々がやったのは、自分が、この曲を唄えば、誰もが落ち込んでしまう。どツボにはまりこんだ気分になるものを競い合って、一番、暗いどん底気分に陥れたのは、誰だというコンテスト。
曲名は書きませんが、交通事故を起こして、詫びる日々を綴った曲とか、自分の生まれ育ちゆえに差別される曲とか、恨み言を延々告げる曲とか、よくぞ皆、こんな曲を知っていたなという、放送番組では流れないような曲が次々に。
もう、どっぷり。真っ黒ですよ。
一人が唄い終わるごとに、「いやぁー落ち込んだなあ」「泣いていいですかあ」と皆が漏らしてしまう曲ばかりで、順位もつけられないほどでしたよ。
もう、二度とやらない。
さて、皆さんの楽しいカラオケ・バトルは……?

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