Column - 2013.05.01
第102回 飛行機、恐い!
ときおり眠れないことがあります。余程楽しいことがあったり、妙な不安感につきまとわれたり、あるいは誤って濃いコーヒーを飲んでしまったりというケースかな。
そんなときは、布団の中でまんじりともせず過ごすのですが、翌日の予定を考えると何とか睡眠を取っておいた方がいい。で、どうやって眠るか。いわゆる就眠儀式というもの。
羊を一匹二匹と数えるのは有名ですが、私にはあまり効果がない。声を出さずに頭の中で「あー」と叫び続けるといいと聞き、試してみたのですが、私には効果がなかったな。でも、大丈夫。私には、とっておきの方法があります。
それは、空想飛行です。
まず、頭の中で自分が今、草原に立っているのだと想像します。それから、これも想像ですが両手を広げて全速力で走り始めます。滑走をしばらく続けると身体が離陸。そのまま上昇を続けながら、時には旋回しつつ下界を見下ろしていると、いつの間にか、眠りの中に入っている。
これが、今、一番、効果あるかな。
こう書けば、私のことを皆さん飛行機が大好きな人間だと思われるんじゃないかな?
ところが、さにあらず。いつの頃からか、飛行機が大嫌い!という人になっていました。できるだけ乗りたくない。幼い頃はチラシ撒きのセスナに同乗したことがあったし、楽しかった記憶があるのですが。
高校から大学に入る頃にかけて飛行機に乗れなくなったのではないかな。
まず、あんな金属の塊が空中を飛ぶというのは万物の法則に反しているのではありませんか。翼を持ち、一定の速度があれば飛行するのかもしれませんが、それは全ての機器類が正常に作動していての話です。いつ、トラブルで止まってもおかしくない。とすれば落ちる他ないじゃないですか。そんな危ないものには乗れません。
ところが就眠儀式の空想飛行は、ちっとも怖くないのです。映画でもテーマパークでも飛行場面は大好き。実際に飛んでいる訳じゃない、と自分に言い聞かせているから。想像世界の飛行は、「これは夢だから」と自分に言い聞かせている自分がいます。
さて、現実の飛行機に乗る時。一番怖いのは離陸の時。叫び出したくなります。そのとき、一瞬にして、自分の乗っている機が空中分解を起こして墜落する場面が、微に入り細にわたって脳裏に浮かぶのです。そして、過去に見た映画の無数の墜落シーンがパノラマのように蘇ります。この飛行機から、もし無事に降りれたときには白髪になってるにちがいない、と考えていたりします。
だから、できるだけ飛行機には乗りません。熊本から移動するのに、名古屋辺りまでは新幹線を使っています。でも、東京まで旅するときは、時間の都合で、やはり飛行機。
一つだけ、方法はあります。空港で、ぐでんぐでんに酔っぱらって飛行機に乗れば、恐怖から逃れることができます。しかし、その後、仕事が待っていることを考えると飲めないから、やはり恐怖と戦うしかないか。
それでもいろいろと試してはみました。ヘッドフォンをつけて音楽を大音響でがんがん鳴らして聴く。やはり気流の変化で揺れるあの怖さは克服できませんでした。ダイ・ハードという映画でブルース・ウィリスは高所恐怖症という設定のスーパーヒーローでした。で、飛行機嫌いで、仕方なく乗るときは、「靴を脱ぐ」
効果あるんだろうか?と試してみたのですが、結果は“?”でした。よく意味がわからない。
「何度も乗っていれば、そのうちに慣れて、何とも思わなくなりますよ!」と言われたけど、何度乗っても怖いものは怖い。人は歩行する以上の速度で移動することを続けていたら、いつか感覚が異常になるというのが持論ですが、これは恐怖症が生み出した理論ですね。
一つだけ恐れを緩和する方法がある様な気がします。まだ試していないのですが。
離陸の時に、キャビンアテンダントのお姉さんが私の手を握っていいてくれるというサービスをやってくれたら、「今なら墜落してもいい」と思えるのではないかと。
そう思いませんか?飛行機恐怖症克服!
ただ、どうやって試せばいいか、検討もつきません。
このような恐怖症は、私だけなのかなあ。
そう考えていたら、結構たくさんいらっしゃる。
海外旅行には行かない、という方の理由が、「飛行機が怖いから」
あ、私と同じだ!と膝を叩きました。その割には、どこそこの国を巡りましたという方が多いなあ。
ブラッドベリという作家さんは、とうとう来日されませんでしたが、理由はやはり飛行機嫌い。「火星年代記」やら「ウは宇宙船のウ」やら名作ばかりのSF作家さんと私も同じだ!!とうれしくなります。
さて、もうすぐ上京の予定があるので、今からおろおろしているのですが、他に飛行機恐怖症を克服できる方法をご存知ありませんか?