News - 2020.08.11
45年前の「白岳」と父との再会
「まさか、こぎゃん形で親父が造った焼酎に巡り合えるとは思わんやったね。
貴重やけん、ゆっくり味わって呑みないよ」
そう言って父親の墓前で手を合わせるのは、高橋酒造ブレンダー・山下浩二。
今回、思わぬ形で二人を再開させてくれたのは45年ぶりに発見された「白岳」でした。
7月某日、1件の問い合わせが高橋酒造に入りました。
「これらが飲めるかどうか調べてほしい」
豪雨災害から約一ヶ月。
人吉市上薩摩瀬町のとある民家で豪雨災害の片づけをしていたところ45年前(昭和50年3月29日)に製造された「白岳」が50本ほど発見されたとのこと。
お話を伺うと、当時は新築祝いで一升瓶を50本~100本ほど贈るという風習があったそうです。
(※今回発見された45年前の「白岳」)
すぐに唎酒(利き酒)と分析を実施すると、発見された45年前の白岳は「常圧焼酎」であることが判明。
焼酎としての総合評価は決して高いものではありませんでしたが、「酒質は味が濃く、後味が力強く古酒ならではの熟成が感じられた」という結果をいただきました。
現在、高橋酒造では減圧蒸留法で焼酎を製造しておりますが
45年前は、ちょうど常圧蒸留から減圧蒸留への移行期。
今回発見された「白岳」は弊社最後の常圧蒸留法で製造した
焼酎かもしれません。
そして、この常圧「白岳」を製造した杜氏こそ山下弘光氏。
現高橋酒造ブレンダー・山下浩二の父親で、45年前高橋酒造で杜氏を務めていた人物です。
45年という年月を超えて、焼酎造りという同じ夢を追った親子が「白岳」を通じて再び出会った瞬間でした。
(※当時の杜氏・山下弘光氏(後列一番右)
現在の高橋酒造ブレンダー・山下浩二の父親)
今回、久しぶりに父親の墓参りに行った山下。
父親との会話を楽しみながら、
見つかった45年前の「白岳」を墓前に供えたそうです。
(※最後の常圧焼酎「白岳」を父親の墓前に供える
高橋酒造ブレンダー・山下浩二(令和2年8月9日))
今の時代、外に出ることもなかなか難しくなってきています。
だからこそ、今年のお盆は、お家の中で
ご先祖様とお酒を酌み交わしてみませんか。
もちろんその時は「白岳」を片手に。