杜氏の夢
どの分野においても、ものづくりの根幹にあるのは人の想い。そう考える小山薫堂さんから、プロジェクトをスタートするにあたり、多良木蒸留所の熟練の5代目杜氏や技術者たちにある質問がありました。「例えば自分の孫に飲ませたい、杜氏人生をかけた米焼酎を自由に造っていいと言われたら、まず何にこだわってみたいですか?」すると、「森のくまさんを使ってみたい」と同杜氏。森のくまさんとは、熊本産の食用米です。当然価格も高いため、焼酎の原料として使われることはありません。しかも蒸留してしまうため、さほど味の変化は出ないかもしれない。でも、杜氏の夢として使ってみたい・・・小山さんは杜氏の夢に賭けたいと思い、社長の高橋を説得してくれました。そして小山さん、高橋、杜氏の3者でとことん話し合い、「日本酒に負けない"なめらかな旨み"を持ち、かつ品格とキレがある米焼酎」と、味と香りの方向性を定め、原酒づくりに着手しました。